今回は、アド・シーズ 朝野と広告代理店と制作プロダクションのAD4名との座談会をもとに構成したものです。
あのー、色校正のことなんですが、本機校正って実際の印刷機で刷るから、 本番と同じってことですよね?
機械は同じですけど…
でも、過去に何度か本機校正を見てきたんですが、 本機校正と本番の印刷とが違ったりすることがあるんですが、どうして?
印刷機は、基本的に何千枚とか刷るためのものであって、 校正用に20~30枚刷っただけでは色にバラツキが出て当たり前なんです
へえ… 2回目の色校正で赤字以外の部分まで 変わってしまうことが、よくあるんですが…
そもそも本機校正ってのは、色を安定させるまでに 最低でも100枚から200枚くらい紙が必要なんですよ。 当然時間もかかります。それを少ない枚数と時間で 刷ったんじゃ色は合わせ難いですよね
えっ!じゃあ、どうして本機校正がここまで広がっているんですか
言いにくいんですが、今までの姿勢に問題があったんですよ。 校正機と印刷機は機械自体が違うものなので、本番と色が違っても当然と いう意識が刷る側にもあり、技術を大切にする意識が少し足りなかったんです。 印刷機で校正しますって言えば、多くの人は間違いないと思っちゃいますから
ショック…
校正刷りは、校正機で適正な濃度とドットゲインを適正に管理して、 それを印刷機で忠実に反映させるのが最適な方法なんです
でも、それがうまくいかないから、本機校正に頼ったってことでしょ?
そこで校正の技術が重要なんです
校正の技術?
そうです。現在、校正は1C平台校正機で行うのが主流で、 1色刷ったらインキを少し乾かして、また元の位置に紙を置いて、 次の色を刷るという作業になります
そうなんですね
それで、こちらの2枚を見比べてください
ちょっと色が微妙に違う感じがしますね
実はこれ、データも印刷方法もまったく同じなんです
じゃあ、何が違うんですか
見当が少しだけズレてるんです
えっ、見当のズレで色が違って見えるんですか
トンボ半分ズレるだけでも、違って見えます。 だから、目で見て合わせるのではなく、 紙の触れた指先の微妙な感覚で合わせるんですね
へぇ!それって職人技の領域ですね
そうなんです
それが校正技術の真髄ってことですか。 なるほど、かなり修得は難しそうですね
いやいや、これは校正技術のほんの一部ですよ
そうですか
色を刷るのだから、インクの量がバラついたらダメってことは、わかりますよね
ええ、それは想像つきますね
通常1C平台校正機だと、 ヘラを使って手作業でインクを盛るのが普通です。 これはこれで、職人的な技が必要なんですが、 それでも濃度にバラつきが出てしまうんですよ。 アド・シーズでは機械を使ってコントロールしています
すべてが職人的な繊細な技術ってことでもないんだ
はい、ここには自動濃度測定機と 自動インキングシステムを導入しているんです
それは、特別なことなんですか
この機械を付けている1C平台校正機は、 ほとんどありませんね
へえ…
これによって、インクの濃度や量、硬さなどを一定にできて、 インクの付き方やドットゲインなどのブレが抑えられるんです
なるほど。機械でインクの状態を一定にして、 職人技で紙の位置を寸分たがわず一定にする。 これで校正はバッチリってわけですね
いやいや、まだまだ。 校正というのは、もっともっと深くてデリケート。 まあ、私の性格みたいなもんですね
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すみません。 へんな雰囲気になったので、続きは次回に…