今回は、アド・シーズ 朝野と広告代理店と制作プロダクションのAD4名との座談会をもとに構成したものです。
まだまだ深くなる校正の話、してもいいですか
どうぞとうぞ!
校正で大事なのは、バラツキがないってことなんです
そうですよね。 バラツキって、けっこうありますよね
ええ。ひどい時は、ADさんのところに送ったのと、 クライアントに出したのがかなり違っている場合もあります
過去に経験があります
そんなことがないように、 アドシーズでは校正刷りする部屋は、 通常温度25℃、湿度60%に保っています
なんだかバイオかなんかの実験室みたいですね
刷っている時に温度や湿度が変わると、 インクの付き方が違って濃度にバラつきがでたり、 紙が伸縮してしまったりして、 一定の濃度で印刷できなくなるからね
温度や湿度って、そんなに影響が大きいんですね
そして1回目と2回目の校正は、 刷る時間、機械、オペレーターまで出来る限り同じにしています
環境を同じにするためにってこと?
そのとおりです。エアコンでコントロールしてもどうしても差が出て、 インクの硬さや紙の伸縮に変化が出てしまうんです。 もちろん天候によっても影響をうけますが、 天候待ちできるほどのスケジュールはないのが普通なので、 その時は室温を1℃上げたりして、 オペレーターが経験によって同じような状態に持って行きますね
校正刷りで天候待ちって、ちょっとかっこいいですね…
黒澤明監督のように、イメージ通りの天候になるまで、 いつまでも待ったりしてね。いや〜、憧れますねぇ〜
・・・
すみません…次、いきます
はい
インクと同じように、紙の状態を一定にすることも重要です
紙って、環境によって伸縮しますからね
アド・シーズでは、紙が伸縮しないように 最低半日から1日くらい 紙を吊ってからから刷りに入ります
吊る?
はい。刷る前に吊るんです。 温度25℃、湿度60%の部屋で吊らないで刷ると、紙は必ず伸縮します。 ゆがみや波打ちなど起こしてしまうこともありますね
へえ〜!
でも、吊ったら安心ってことでもないんです。 紙の状態が悪い場合もあるので、そういう時は、 インクも何もつけないで一度校正機に通して(カラ通し)、 紙の状態を安定させることをします
紙の状態がいいか悪いかも、わかるんですね
まあ、そのへんは職人的な勘所ですかね
そこまでしないと、思うように刷れないってことですか
この3枚の校正刷りを、ルーペで見てください
スゴイ!ルーペで見ても トンボの見当がまったく同じですね
これが校正技術です! こうやってバラツキがないのは、 自慢ではないのですが高い技術が必要なんです
いや、自慢ですよね
はい、そうです(笑)
でもこれは、堂々と自慢してもいいと思います
ありがとうございます!