株式会社アド・シーズ　Re Color トーク

3 「BKを征するものは、色を征する!」

今回は、社会人2年目の若手AD3名とアド・シーズの朝野との座談会をもとに構成したものです。

へぇ、こうなるんですね。
スミとCMYとを重ねると…

こうやって見ると、
スミ100%でも真っ黒には見えないことが一目瞭然だ

スミ100%は、もはやグレーですね

C60%、M45%、Y35%のグレーバランスの色に
BK100%を重ねたリッチブラックは深みがあるね

黒の中の黒って感じ

CMYをそれぞれ100%重ねると黒になると思えるけど、
実際の印刷ではそうはならない。だからBKがとても大切になってくるんだ

なるほど

例えば、色に濃淡をつけて深みを出したいとき、
BKをどう使うかが腕の見せ所！
この海辺の写真を見て、何か思いつくことは？

右の方は色がつぶれてしまってるけど、
左は海の波の様子とか空の調子がよく出てますね

さすが、いいところに注目しているね！
右はRGBをそにままCMYK変換して印刷したもの、
そして左は、BKの使い方を工夫して、色を表現したものなんだ

海らしく見せるのは、シアンよりもBKってこと?

BKを征する者は色を征する、なんてね。

……

BKの使い方で面白いことをしてみたので、どうぞ

紙違い、ニスの回数違いなどによる
BK+金、銀+ニスの様々な検証

この星の部分にBKが使われているってことですか

そのとおり。金や銀ってすごく難しい色なんだ

印刷では光りませんからね

もともと金のインキは真鍮から、銀はアルミからできているんだよ

へえ

それをどうやって輝く金や銀に見せるか。
紙の種類によっても光感は違ってくるけど、
通常は2回重ねて刷ることで、金らしく、銀らしくなるとされている…

ええ、それは聞いたことありますね

でも、他にも方法はあるんじゃないかと思って、
それでいろいろ試してみて、そのひとつがこれなんだよ

じゃあ、普通の刷り方とは違うんだ

これは、ニスを二度刷りしてから星型を黒で印刷。
その上から金や銀を刷ってみたんだよ

黒の上に金や銀を刷るってのは、よくある手法なんですか

とんでもない。実験的にやってみたんだよ。
そうしたら、けっこう深みのある金や銀が
再現できたんではないかなぁと思っているのだか…

確かに！どんな色をどうやって出すかって、自分たちで研究するんですか

もちろん、一般的なやり方はあるけど、
それだけでやっていても成長がないから。
ADの人たちがデザインにこだわるように、
我々は色にこだわっていかないと、プロとは呼べないでしょ！

これぞ職人魂って感じですね

いやー、それほどでも…。
でもBKの使い方は、まだまだ追求していかなきゃ